アーツブレインズ

THOUGHT

開発者の想い

【美への探求 vol.07】
人類決死の出アフリカ

          

 6500万年前(白亜紀)、霊長類(サル目)が誕生し、およそ200万年前に人属(ホモ・エレクトス)が現れました。
私たちホモ・サピエンスは、おそらく20~30万年ほど前にアフリカ大陸で誕生しましたが、12~20万年ほど前に大氷河期を迎えるとアフリカは大乾燥し、人類は絶滅の危機に遭遇しました。 わずかに生き残った私たちの祖先はアフリカ大陸の最南端の島で漁猟採集生活によって命をつないだ推測されています。

その後12万年程前の間氷期になると気候が温暖化し潤ったアフリカ全域に再び拡散するのですが、7万年ほど前の最終氷期に近づくに連れ、アフリカは再びサバンナ化してしまいます。 この時、乾燥化して食べ物のなくなったアフリカを出て東方アラビア半島へ移動を試みたホモ・サピエンスたちがいたのですが、彼らはユーラシア大陸の湿潤で寒冷な環境に適応できずに絶滅してしまうのです。

 そして、5~6万年前になって再び決死の覚悟でアフリカを出たホモ・サピエンスたちは、アラビア半島でネアンデルタール人に出会うことになります。 ホモ・サピエンスたちはネアンデルタール人と交配し、すでに寒冷地対応していたネアンデルタール人のDNAを授かったことで、その結果ようやくユーラシア大陸に拡散できる能力を得られたと考えられています。
アラビア半島で、ユーラシア大陸でも生きる力を獲得したホモ・サピエンス達は、インド半島の海岸沿いを通ってスンダランド大陸(現在のミャンマー・タイ・カンボジア・ベトナムの沿岸から、 マレーシア・フィリピン・インドネシアからニューギニアにいたる島々の辺り)に向かい、そこで定住する者たちと、およそ5万年前にオーストラリアに到達した者たち(オーストロイド)に別れます。 巨大なスンダランド大陸に住み着いたホモ・サピエンスたちは、その温暖で豊かな土地でかつてない最大の繁殖をすることになりました。

 一方、およそ4万年前にアラビア半島から西ユーラシアに進んだホモ・サピエンスたちの一行は後のコーカソイドとなり、その後、西ユーラシアからアフリカに戻った者たちは、 アフリカに残っていたホモ・サピエンスと再び交配して、現在のネゴロイドの祖が誕生しました。

text:野尻英行

  1. 01.人間の脳が生みだす、奇跡の芸術。
  2. 02.鏡の発見から、アイデンティティーとしての化粧へ。
  3. 03.二足歩行は悲劇をもたらした。だが、悲劇が希望を生んだ。
  4. 04.サルは子供から抱きつき、人は母親が抱きかかえる。
  5. 05.ヒトゲノムの解読。私たちはどこからやってきたのか?
  6. 06.ネアンデルタール人からもらった姿と心
  7. 07.人類決死の出アフリカ
  8. 08.北方系モンゴロイドと南方系モンゴロイドの誕生
  9. 09.「縄文系」と「弥生系」。ひとえとふたえの人がいるのは何故?
  10. 10.“前に向いてついた眼”
  11. 11.「平たい顔」「彫りの深い顔」